Book
 
2013.10.08

岸上伸啓監修、礒貝日月編『北の国へ!!
NUNAVUT HANDBOOK』

1999年4月1日、カナダの地図が大幅に塗り替えられた。東部極北地方を中心に、「ヌナブト」という新準州が誕生した。同準州の総面積はカナダ の5分の1に相当し、人口はわずか3万人。人口の約85%が極北の民・イヌイットである。「ヌナブト」はイヌイットの言葉で「私たちの土地」を意味するが、カナダを構成する一準州であり、イヌイットの自治領ではない。だが、人口比率からもわかるように、イヌイットの国といっても過言ではない。

本書は、そのイヌイットの国の旅行ガイドブックの邦訳版である。各村のデータなどは少し古くなるが、イヌイットの文化、歴史、国立公園の紹介、北極へ行きたい人のための事前情報なども書かれている。

本書「はしがき」の冒頭には以下のように書かれている。「アークティック・フィーバーArctic fever――落ち着かなさ、注意散漫、ものほしさがつづく状態で、地球の極北以外の地域に住む特定の個人に見られる。都会の生活や蒸し暑い気温、ポップ・カルチャーの主張、そしてけばけばしい人工芝生。これらに行動を制限されることに対するいら立ちが症状としてあげられる。話題が北緯60度以北の生活のことになると、動悸、息切れが起きることもある。治療後の経過予想? いいとはいえない。アークティック・フィーバーは心と魂の痛みであり、まだ治療法は存在しない。そこへ(北極へ)行くこと以外には」。

「北へ、北へ」と心が動かされ、「アークティック・フィーバー」の自覚症状がある方はぜひご一読いただきたい。

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