Movie
 
2013.10.08

ザカリアス・クヌク監督『氷海の伝説』

イヌイットたちの手による初の映画作品。公開されると、2001年カンヌ国際映画祭カメラドール(新人監督賞)受賞を皮切りに、トロント国際映画祭、エジンバラ国際映画祭など名だたる映画祭で賞を受賞し、その名を世界にとどろかせた。

。「どこまでも男は走る。家族のため。空と大地を守るため」というコピーが付されているが、とにかく男は氷雪の上を走るのである。詳しい内容は公式ホームページをご覧いただければと思うが、イヌイットの独自の世界観がわかりやすく伝わるようになっている。

イヌイット研究の大家スチュアート・ヘンリ氏が翻訳の監修をされたが、イヌクティトゥト語と英語の使い方にも彼らの世界観があらわれている。たとえば、男性が女性に迫る際、“I wolf you.”という言葉が使用されているが、もちろん“wolf(オオカミの意)”という単語に動詞的な意味合いはないので、このあたりの言葉の使い方も興味深い。

余談だが、主演女優を務めたルーシー・トゥルガグユクは「ヌナブト・シブニクサブト(ヌナブトの未来の意)」のプログラム旅行で日本を訪れている。東京では高円宮殿下妃殿下に謁見し、岩手県盛岡、北海道函館、札幌、 網走と2週間かけて旅をした。スクリーンで観るのと同様、とてもチャーミングな女性で、各地で得意の喉歌(スロート・シンギング)を披露していた。彼女は赤ん坊を連れての旅行だったが、旅に同行した筆者はよく子守をしたのを思い出す。