Book
 
2013.10.08

埜口 保男著『みかん畑に帰りたかった―北極点単独徒歩日本人初到達・河野兵市の冒険』

2001年2月24日、極寒のレゾリュート・ベイ空港。植村直己、大場満郎、和泉雅子、風間深志……数多くの日本人求道者たちがこの地に降り、旅立っていった。カナダ側の北極点への入り口である。

一人の学生がイエローナイフ行きの飛行機を待っていると、いかにも冒険家風な日本人の男が双発飛行機から降り立つ。空港では立ち話をしただけだったが、その後、日本に帰国してから、彼と飲みに行った。エベレスト登頂を果たした彼は、北極点を目指すべく、極寒トレーニングでレゾリュートを訪れた。彼も北極熱にあおられてやって来た一人だった。君と空港で会ったように、河野兵市さんとすれ違って話ができたんだ、と嬉々として話す。河野兵市、北極冒険に無知なぼくはそのときはじめて聞いた名前だった。

数々の登山経験のあと、リヤカーでサハラ砂漠を縦断。1997年、日本人初の北極点単独徒歩到達に成功した冒険家だ。2001年に北極点から佐田岬半島まで徒歩、カヤックなどで足かけ5年かけて帰還する「リーチングホーム」という計画のため、レゾリュートに降り立ったのだった。彼の冒険旅行が気になり、毎日、ホームページで北極行の様子を楽しみに見ていた。

同年5月24日、彼のみかん畑への旅は北極海の氷雪の下で終わりを告げた。本書は友人の氏が綴ったもので、第9回(2002年)小学館ノンフィクション受賞作品である。

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