ただそこにいることを求めて 角幡唯介
目が覚めるとテントがばりばりに凍っている。頭上には深海生物のような白い奇妙な物体が、ボウフラみたいにゆらゆら垂れ下がっている。初めて見る、呼気が固まってできた不思議なかたちの霜ツララ。ゆっくりと払いのけるように手を延ばす …
目が覚めるとテントがばりばりに凍っている。頭上には深海生物のような白い奇妙な物体が、ボウフラみたいにゆらゆら垂れ下がっている。初めて見る、呼気が固まってできた不思議なかたちの霜ツララ。ゆっくりと払いのけるように手を延ばす …
「2015年、北極が消える?」と題して、世界経済との絡みから10ページの特集ページを組んでいる。エネルギー資源の確保を目指し、カナダが領有権を主張しているのは興味深い。また、ロシア、デンマークも領有権争いに名乗りをあげて …
2001年2月24日、極寒のレゾリュート・ベイ空港。植村直己、大場満郎、和泉雅子、風間深志……数多くの日本人求道者たちがこの地に降り、旅立っていった。カナダ側の北極点への入り口である。 一人の学生がイエローナイフ行きの飛 …
「イヌイット美術を世界に紹介した」とずいぶんと仰々しいサブタイトルがつけられているが、本書を開くとそれが大げさでないことがよくわかる。 1940年代末からカナダ北極圏に住んだ氏は石製彫刻品の制作をイヌイットたちに勧める。 …
タイトルどおり、二つの文化(先住民社会と欧米社会)の狭間で揺れ動くカナダ・イヌイットの姿を写した大型判写真集。 1950年代後半から1960年代後半にかけて、現ヌナブト準州の中部・東部の各村を広範囲に撮影している。120 …
1940年代から1960年代にかけてカナダ北方民族の文化人類学的調査をしたJohn Honigmannの学術調査内容を同じく人類学者のBryan Cumminsがまとめたもの。 本書でなによりも興味深いのは数多く掲載され …
北海道網走市内にある北方民族博物館4代目館長による学術エッセイ。考古学、文化人類学が専門であり、アラスカと北海道の文化がおもな研究対象である。夫の故・岡田宏明氏も著名な文化人類学者であり、アラスカ研究の第一人者であった。 …
2006/2007年の第18回カナダ首相出版賞受賞作品。極北の大地を訪れ、イヌイットの村に滞在したとき、人はかつてのイヌイットと現代の姿を勝手に比較し、その変化を無自覚に批判あるいは納得する。 一見したことをすべての事象 …